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前に進める法律相談 -傾聴-

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
中小企業をもりたてるパートナーとして、企業理念や経営者の想い、事業を理解した上で法的アドバイス、対外交渉、リーガルチェックを行うことをポリシーとしております。これまでの法律相談は1000件以上。ビジネスコーチングスキルを取り入れ、顧問先企業の経営課題・悩みをヒアリングし解消するトリガーミーティングも毎月行っています。
「話をちゃんと聞いてくれてよかったです」
法律相談を終えた相談者に、こんなことを仰って頂きました。
相談してよかったと思ってもらえることは、私にとって喜びです。
その人の人生を一歩でも前に進めることは法律相談の役目です。
では、その役目を果たすために、法律相談はどうあるべきか。
相談者の話を聞くこと、その人の思いを汲み取ること、その人が自分の考えを言葉にするプロセスを大切にすること、その人のリズムに合わせること…。
これを一言で「傾聴」と言いますが、法律相談において傾聴はなくてはならない要素です。
もちろん、相談者の問題を解決するためには、的確な「アドバイス」をすることが必要です。
しかし、その人が抱えている本当の問題を知ることなしに、アドバイスはできません。
その人の話、思い、表情、しぐさ、現場の状況、問題の本質を、弁護士は正しく聴き取り、共感し、理解することが必要です。
そうした傾聴をせずに、とりあえず出てきた相談者の言葉だけにすぐに飛びついてしまうと、表面的な会話しかできず、表面的な解決しかできない可能性があります。
例えばこんなやりとり。
(相談者)「慰謝料とりたいんです!」
(弁護士)「慰謝料ですか。証拠がないので難しいですね。」
(相談者)「じゃ、泣き寝入りですか!」
(弁護士)「まぁ、そう思うのでしたら、そうかもしれません。」
という法律相談。
弁護士のアドバイスは決して間違ってはいません。
証拠がない場合、いくら弁護士だって勝てないものを勝てるとは言えません。
けれど、このやりとりでは互いの心が通っておらず、さびしいですよね。
そうではなくて、例えば、
(相談者)「慰謝料とりたいんです!」
(弁護士)「つらかったですものね。」
(相談者)「ほんとそうですよ。」「で、どうなんでしょうか」
(弁護士)「誠に残念ですが、証拠がなく慰謝料はとれないです。こんなことをお伝えするのは私もつらいですが、あなたが失敗しないために、不利なことも伝えるのが私の役目です。…それで、慰謝料をとりたいとのことですが、最終的にはどうしたいのですか?」
(相談者)「もうあの相手とは関わらないでいたいのです」
(弁護士)「なるほど、そうですよね。では、そのために何ができるか、一緒に考えませんか」
というやりとりはいかがでしょう。
この方が相談者の本当の問題に近づくことができ、そのための解決策を探るための場が創られていると思います。
傾聴なくして真の解決策なし
法律相談は、しっかりと相談者の話を聴き、相談者の思いを汲み取り、そのうえで解決への道しるべを示すのがゴールです。
法律の専門家として、解決策を生み出すことは必須です。
しかし、そのためにこそ傾聴は必要です。
「傾聴なくして真の解決策なし」
これを肝に銘じて取り組まなければならないと思っています。
そういう意味で、冒頭の「話をちゃんと聞いてくれてよかったです」という相談者の言葉はとっても嬉しいのです。
ちなみにその方は、続けて「波戸岡さんって弁護士さんですよね?」とも仰ってました。
弁護士っぽくないですねという言葉も、けっこう嬉しいです(^^)
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