Blog 最新記事
- 信念への共感が心をつかむ from『すごい傾聴』(良書から学ぶ経営のヒント)2024-11-15
- 「見て見ぬふり」はこうして起こる-コンプライアンス違反を防ぐための心理的アプローチ-2024-11-04
- コンプライアンス違反を防ぐ少数派の影響力2024-11-04
- アンコンシャス・バイアスがコンプライアンス違反を招く?-無意識の偏見と公正な職場-2024-11-04
- 「赤信号、みんなで渡れば怖くない」-コンプライアンスと集団的浅慮-2024-11-03
カテゴリ
M&A・最終契約書(株式譲渡契約書)のリーガルチェックポイント
M&Aとは会社そのものを売却することであり、自社株式を売却する形で行うケースが多いです。
一連の流れは、秘密保持契約(NDA)→基本合意書(LOI)→デューデリジェンス(DD)→最終契約書(株式譲渡契約書)→決済(クロージング)という順で進みます。
柱となる契約が、基本合意書と最終契約書(株式譲渡契約書)という二本立てなのが特徴です。
前回の記事では基本合意書について解説しましたが、今回は最終合意書(株式譲渡契約書)についてのリーガルチェックポイントを解説します。
※今回の記事は、M&Aを株式譲渡方式で行うことを前提としています。
1 譲渡する株式の範囲と対価を定める
譲渡対象となる株式の種類は何か、株式数は何株か、その対価はいくらなのかを明記しましょう。
全株を売却する場合はシンプルですが、わずかでも手元に残す株式がある場合は、慎重に見極める必要があります。
また、特にオーナー企業の場合、創業者の友人や親せきなどに株式が分散しているときがありますので、譲渡契約前にこれらの人の株式も譲渡対象に含めて問題ないかどうか、確認しておくことが必要です。
2 クロージング方法とその前提条件を定める
クロージングとは、会社売却のために必要な引渡し手続と、対価の支払い手続き(決裁)をそれぞれ完了させ、経営権の移転を名実ともに完了させることをいいます。
クロージングの方法はスキームごとに異なり、株式譲渡による場合は、株式移転と対価の支払いが最終手続きとなりますが、その前提条件(必須条件)として、雇用関係の整理、契約関係の承継、許認可の取得などの条件をそろえておく必要があります。
会社の経営権を名実ともに移転するために、クロージング日までにどのような手続きを済ませておかなければならないのか、またそれは可能なのかを逐一確認しておくようにしましょう。
3 表明保証条項の内容を見落とさない
内部の手続きが適法適正に行われていることや、開示情報や調査事項に嘘偽りがなく正確であることなどを、相手方に対して表明して保証することを表明保証条項といいます。
表明保証条項が正確であることはクロージングの前提条件の一つになりますし、後日になって誤りや偽りがあったことが判明した場合には、損害賠償責任を負ったり、M&Aそのものの解除事由にもなりうると定められますので、大変重要です。
それでいて、実際の契約書では、大量の事項が表明保証の対象に盛り込まることが多いですので、その把握に抜け漏れがないようにしましょう。
売り手としては開示した以上、後日になって損害賠償請求されないように、また、買い手としては事業引継ぎに必要なことが保証されているように、両者とも十分な確認が必要です。
4 公表する場合の手続きを定める
М&Aは秘密裏に進められるものですが、どのタイミングで、どのような方法でプレスリリースをするのか、取引先や従業員にいつどのように話をするか、などについて、双方合意のうえで進められるように定めておきましょう。
契約書には書かない場合でも、両者ですり合わせしておくことは必須です。
以上のように、M&Aの最終契約書(株式譲渡契約書)で注意すべきリーガルチェックポイントを整理しました。
М&Aは一定期間、神経をすり減らしながら進めるタフなプロジェクトでもあるので、信頼できるメンバーと連携しながら、慎重に進めていきたいものです。
リーガルチェックのご依頼ご相談も受け付けていますので、その場合は下記フォームからお問い合わせください。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。
私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。
経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。
波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
2024年12月、本を出版いたしました。
新作著書『弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル』を出版いたしました。
経営者が自分の判断に自信をもち、納得して前に進んでいくためには、
経営者に伴走する弁護士が、本音で対話できるパートナーであってほしいです。
本書では、経営者に寄り添う弁護士が身につけるべきコミュニケーションのヒントを数多く解説しています。
経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
TEL 03-5570-5671 FAX 03-5570-5674