新規事業にリーガルチェックは不可欠。注意すべき法令や活用できる制度をご紹介します。

リーガルチェックとは

リーガルチェックでは、作成された契約書の内容に間違いがないかだけではなく、その取引自体において、法律に反している部分がないかを確認し検証します。

契約当事者間では合意ができていても、それが何らかの法令に違反していた場合、事業や取引自体が遂行できないだけでなく、様々な損失を企業は受ける可能性がありますので、専門家によるリーガルチェックを受ける必要性は高いです。

新規事業開始時になぜリーガルチェックが必要なのか

ビジネスにおけるリーガルチェックは、通常の事業以外に、新規事業開始時において特に重要です。
もしリーガルチェックを受けずに新しくビジネスを始めた場合、どのようなリスクを負うことになるか、順を追って考えてみましょう。

まず、法令違反の場合、新規事業が継続できないというリスクが発生します。
行政指導が入り、提供しているサービスが提供できなくなったり、変更を余儀なくされたりすることがあります。
法律に反したビジネスを行えば罰せられることもありえます。

次に、法令違反でなくても契約書に不備があった場合には、不利なかたちで損害賠償請求をされたり、契約の無効を主張される可能性もあります。
そうなれば、やはりサービスを継続できなくなる可能性がでてくるでしょう。

そうするとサービス利用者とトラブルが起こる可能性もありますし、会社の社会的信用も低下し、事業全体に影響が及んでしまいます。

さらに、費用面においてもリスクがあります。
新規事業構築のために使用した資金の回収は困難になりますし、対処するために専門家に依頼すればその分のコストがさらにかかってしまいます。

そうならないよう、以下では新規事業で注意が必要な法規制を、ポイントを押さえながら見ていきます。

新規事業で注意が必要な法規制

■決裁事業
ポイントを提供する場合には、資金決済法や割賦販売法などの対象になることがあります。ユーザー間でのやり取りを行う場合には資金移動業にも該当する可能性がでてきます。
ですので、これらの法適用対象となるかのチェックが必要です。

■BtoC事業
企業と個人間の取引では、消費者契約法や特定商取引法の適用が問題になることが多いです。
損害賠償責任の免責条項をはじめとして、企業が有利になる条項は、たとえ個人本人の同意を取っていても無効とされたりするので、BtoB取引との違いを押さえておく必要があります。
また、個人情報保護法の対策もぬかりなく行っておく必要があります。

■美容品の販売事業
美容品や化粧品は、医薬品として売らないつもりでも、商品に含まれる成分や表示の仕方によっては、薬機法はじめ医療関係法の適用対象となるので、この分野のリーガルチェックを怠ってはなりません。

■仲介事業
ビジネスにおける仲介業には、必要な登録や許可、届出が多くあるので注意が必要です。
紛争解決には弁護士法、不動産の賃貸や売買の仲介には宅地建物取引業法、求職情報では職業安定法、投資情報には金融商品取引法などが該当します。

■食品販売事業
食品を巡っては、食品衛生法、食品表示法、食品安全基本法など、様々な食品分野の法律が適用され、また食品によっても規制が異なる場合があるので、要注意です。

■運送事業
運送事業についても、行政との関係で種々の法律があります。例えば自動車で顧客輸送を行うときは、旅客自動車運送事業として許可をとる必要があります。

新規事業におけるリーガルチェックの進め方

◎ビジネススキームの分析
チェックする際には、漫然と場当たり的に検討していくだけでは充分とは言えません。
法的なリスクはどこにあるのか、予め充分に分析することが必要です。
リーガルチェックした結果、問題点があって変更を余儀なくされた場合でも、初めから網羅的に検討しておけば、いきなり対処困難な事態に陥ることはありません。

◎分析後の問題対処
リスクや問題点を洗い出すことができたら、次はその対処に移ります。
重要性や緊急性を考え、問題に応じた変更や回避策を講じることが必要になってきます。
ビジネススキームの中核部分に関連する問題が出てくれば、真っ先に対処すべきですので、どの問題から対処すべきかは検討が必要です。
また、新規事業については法整備が追いついていないこともありますので、その点も含めて考える必要があります。

◎質問・リサーチ
事前の調査では、法律だけでなく、各所が出しているガイドライン、法的な背景などの資料も確認しておきます。
判例や論文などのリサーチも時には必要となります。
その上で、対処すべき問題について、関係各所へ直接確認する場合もあります。

◎制度を活用する
以下、新規事業に関連して活用できる制度をご紹介します。
ただし、利用するには相応の法律知識が必要なこともあり、リーガルチェックそのものをしてくれるサービスではありません。

1.法令適用事前確認手続
ノーアクションレター制度とも言います。具体的行為をあらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認し、その行政機関が回答を行うとともに、当該回答を公表する手続きのことです。関係する各所からの回答を事業開始前に得ることができます。

2.グレーゾーン解消制度
産業競争力強化法に基づいた制度で、新しく始める事業が現行規制の適用範囲なのかが明確でないときに、具体的な事業計画に即してあらかじめ確認できる制度です。

3.新事業特例制度
新規事業を行う場合に、現行の規制では行えないとき、特例措置を提案することで、安全性の確保を条件として企業単位で規制の特例措置の適用を認める制度です。

4.規制のサンドボックス制度
ブロックチェーンやロボットなどの新技術や新しいビジネスモデルの実施が現行の規制との関係で困難であるときに、これを申請することで、規制官庁の認定を受けた実証を行い、実証により得られた情報やデータを用いて規制の見直し、そして社会実装へと繋げていく制度です。

波戸岡の新規事業リーガルチェックの特徴

私が新規事業におけるリーガルチェックの依頼を受けるときに最も意識していることは、“新規事業の仕組み”を正しく理解することです。
時には、今まで私が聞いたことがないビジネススキームのリーガルチェックを行うこともあります。
その際に欠かさないことは、丁寧なヒアリングと想像力を働かせること。
これまでの経験に押し込めて考えようとすると、新規事業を進める上での思わぬ落とし穴にはまってしまうことになりかねません。

まずは、皆様の新規事業について、じっくりとお聞かせください。お聞かせいただいた内容がまったく新しいビジネススキームであったとしても、リーガル面で問題がないか検討します。
新規事業には企業経営者の想いが詰まっています。可能な限りその想いを実現していただきたいので、その新規事業が、法律の見落としによってブレーキを掛けられることがないようしっかりリーガルチェックさせて頂きます。

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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